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令和4年11月28日に労働基準法施行規則の一部を改正する省令が公布されました。
これにより、令和5年4月1日から賃金をデジタルマネーで支払うことが可能となります。
今回の改正は、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズがあったことによるものです。
■賃金支払の原則
賃金の支払は、通貨払いが原則です。(労働基準法第二十四条)
例外として、通貨以外のもので支払うことも認められており、多くの企業が採用している銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等もこの例外にあたります。
今回のデジタル払いも、この例外の一つになります。
【e-GOV法令検索より】
■賃金のデジタル払いを行うための手続き
賃金のデジタル払いを行う場合、次に挙げる事項を記載した労使協定を締結する必要があります。(労働組合がある場合は、労働組合との労使協定が必要。)
(1)口座振込み等の対象となる労働者の範囲
(2)口座振込み等の対象となる賃金の範囲及びその金額
(3)取扱金融機関、取扱証券会社及び取扱指定資金移動業者の範囲
(4)口座振込み等の実施開始時期
その上で、労働者は賃金のデジタル払いの留意事項の説明を聞き、理解した上で、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出することが必要です。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座で受け取ることができるようになります。
※令和5年4月1日以降、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行い、審査・指定後に労使協定を締結することとなるため、実現にはしばらく時間が掛かることが見込まれています。
■労働者が希望した場合、デジタル払いは義務?
経営者の方にとって、労働者に賃金のデジタル払いを希望された場合、義務であるかどうかは気になる点ではないでしょうか。
結論としては、義務ではありません。今回の改正は賃金支払い方法の選択肢を増やすことが目的であり、労働者及び事業者双方にとって強制するものではありません。つまり、使用者が希望しない労働者の方に強制することもできません。
■最後に
賃金のデジタル払いが進むには、まだまだ時間を要するとみられますが、資金移動業者への送金には銀行振込ほど手数料が掛からない場合が多いため、賃金支払いにおける手数料を削減できるメリットが生まれる可能性もあります。
制度の内容や手続き等、ご不明点がございましたら、社会保険労務士法人CROSSROADへお問い合わせください。