フリーランス新法で企業が気を付けるべきこととは?
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今回は、開業費の税務上の留意事項について説明いたします。
1.開業費とは何か
法人が支出する費用で、その支出の効果が将来に及ぶものは、減価償却資産と同様にその支出の効果が及ぶ将来に期間にわたって費用配分すべきであるとされています。このような支出を繰延資産といいますが、旧商法の限定列挙されていたものと税法独自のものとでは法人税法上の取り扱いが異なります。
開業費は、旧商法に規定する繰延資産の一つであり、会社設立後、開業準備のため営業開始の時までに特別に支出した費用をいいますが、具体的には以下のものがこれに該当します。
(1)ホームページ作成費用や看板などの広告費
(2)事務所の敷金礼金
(3)開業のためのセミナーへの参加費用
(4)店舗用地等の調査のための旅費、ガソリン代
(5)開業に係る通信費用、関係先への手土産、打合せ、会議費など
(6)エアコンなどの備品
(7)事務所の机などの事務用消耗品
(8)開業までの借入金利子
2.開業費(繰延資産)の償却方法
開業費の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています。(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。
この場合の任意償却とは、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるものであり、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
また、繰延資産となる費用を支出した後60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができますが、支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。(所得税法第50条、所得税法施行令第137条第1項、第3項)
3.法人成りにおける開業費(繰延資産)の留意事項
一般に、個人事業を法人成りさせる場合において、資産等を受け入れる方法としては、現物出資による方法と設立後に有償で譲り受ける方法とが考えられますが、そのいずれの方法による場合でも、従前の個人と設立後の法人とは、まったく人格が異なることから、単に個人の取得価額や帳簿価額を引き継ぐのではなく、第三者間で行われる取引と同様に、その引継ぎの時の現在価値すなわち時価によって引き継ぐ必要があります。
また、引き継がれた繰延資産の償却期間については、法人成り時の際に新たな支出があったものとして、法人税基本通達8-2-3に定める償却期間(5年又は賃借期間のうち短いもの)で償却するのが相当であり、個人時代の経過期間を控除することはできないものと考えられます。
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