コラム

広大地の評価の改正について

税務

 今回は平成29年税制改正のうち、広大地の評価方法の改正についてご説明いたします。なお今回の改正は、平成30年1月1日以後に相続等により取得する広大地について適用されます。

 

 

1.広大地とは
 広大地とは、次の要件を全て満たす土地をいいます。
 ①1000㎡以上(東京圏、名古屋圏、大阪圏の三大都市圏に所在する土地は500㎡以上)の面積であること。
 ②原則として容積率が300%未満であること。
 ③戸建分譲開発するときに私道等が必要なこと。
 ④大規模工場用地に該当しないこと。

 

 

2.広大地の評価
 一般的な土地の評価額は、路線価に地積を乗じて算出します。それに対して、広大地の評価額は次のとおりに算出します。
 

 広大地の価額 = 広大地の面する路線の路線価 × 地積 × 広大地補正率
 (広大地補正率 = 0.6 - 0.05 × 地積/1000㎡)

 

 広大地の評価には補正がかけられます。補正率を乗じて算出するため、大幅に評価額が減少することとなります。例えば、地積が3000㎡の広大地の補正率は0.45となり、評価額が55%減少します。なお、広大地補正率が0.35未満となった場合は、0.35で計算されますので、最大65%減少することとなります。
 広大地の評価に補正率が乗じられる理由は、広すぎる土地は一般住宅用地として買い手がつかず、区画割りや開発を行う必要が生じます。その際に道路以外の使用ができない土地の割合を考慮し、補正率を乗じて評価を抑えるためです。

 

 

3.改正の背景
 現行の広大地の評価では、広大地に該当すれば同じ面積の土地は全て評価額が同じとなります。しかし実際は、整形地に比べて、間口の狭い土地や不整形地は実勢価格が下がります。この実態を評価額に反映するため、今回の改正が行われます。

 

 

4.改正の内容
 改正後の広大地の評価の計算式は次のとおりとなります。

 広大地の価額 = 路線価 × 地積 × 形状補正率 × 規模格差補正率

 

 形状補正率は、間口の広さ、奥行の長さ、不整形地を考慮した補正率です。
 規模格差補正率は、外部専門業者の調査に基づき設定される補正率です。
 現在これらの補正率の具体的な数値については発表されておりませんが、改正は平成30年から適用されるため、平成29年中に発表される見込みです。この補正率を乗じることにより、実勢価格に準じた評価額となります。

 

 

5.今後の見通し
 この改正により、広大地は平成30年から評価額が大きく異なることとなります。事業承継などをお考えの場合、平成29年中に該当する広大地を贈与する方が税額を抑えられるといった状況も考えられます。

 

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