コラム

個人所得、消費課税に関する税制改正

税務

 平成30年度の税制改正案のうち、今回は個人所得、消費課税に関する改正項目をご紹介いたします。

 個人所得課税に関する税制改正項目は、次のとおりです。
1.給与所得控除等の基礎控除への振替
 近年、働き方が多様化し、様々な形で人々が働く実態を鑑みて、個人所得への課税の計算上、所得控除の一部が、基礎控除に振り替えられます。
 給与所得及び公的年金等の控除額を一律10万円引き下げるかわりに、基礎控除額を10万円引き上げます。
 給与や公的年金等の収入がある方は、課税所得が増減するわけではありませんが、自営業やフリーランスの方は、課税所得が10万円減少します。

 

2.給与所得控除の適正化
 給与所得控除について、勤務に関連する経費の実額や、諸外国の水準と比べて過大となっていることから、限度額が引き下げられます。
 給与所得控除は、給与収入が850万円超の場合、控除額が最大で15万円減少します。

 

3.公的年金等控除の適正化
 また、公的年金等控除について、現状では限度額がなく、高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みになっており、世代間の課税の公平性を確保することを目的として、限度額が設定されます。
 公的年金等控除は、年金収入が1000万円超の場合、控除額に195.5万円の限度額が設けられます。
 また、年金以外の所得が1000万円超ある場合は、控除額がさらに引き下げられる見込みです。

 

4.基礎控除の見直し
 加えて、高所得者に対する、基礎控除による税負担の軽減の必要性は乏しい、との判断から、合計所得金額2400万円超で控除額が逓減し、2500万円超で消失することとなります。

 

1~4の改正は、平成32年以降の所得税について適用されます。
1のとおり、自営業の方などの控除が増え、税負担が減る一方、高所得の方には、2~4の改正案により、税負担が増える見込みです。

 

 

 消費課税に関する税制改正項目は、次のとおりです。
5.国際観光旅客税の創設
 近年の訪日観光客の急増を受け、観光基盤の強化を図る財源確保のために創設されます。平成31年1月7日以降、国際観光旅客等の1回の出国につき、1000円が課税されます。

 

6.外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
 また、外国人旅行者の利便性向上のため、一定の要件のもと、一般物品及び消耗品の購入額合計が5,000円以上となる場合は、免税販売の対象となります。
(従来は、一般物品と消耗品のそれぞれについて、購入額合計が5,000円以上でなければ適用されませんでした。)
平成32年4月1日以降の免税販売に適用されます。

 

7.たばこ税の見直し
 社会の高齢化による社会保障関係費の増加等により、財政物資としてのたばこの税率が、平成30年10月1日から、1本あたり3円引き上げられます。
 また、近年急速に普及している加熱式たばこについても、製品特性などを加味して、課税区分が新設される見込みです。

 

 細かな項目が多いですが、近年の働き方の多様化、訪日観光客の急増など、時代背景に沿って税制も少しずつ改正されます。
 最新の税制改正の内容等について詳しくお知りになりたい方は、税理士法人CROSSROADまでお気軽にご相談ください。

その他関連コラム