贈与のすすめ
会計・税務・経営コンサルティングのご相談は大阪市中央区と東京都港区の税理士法人CROSSROAD(クロスロード)
今回ご説明するのは、個人事業者が法人成りするメリット・デメリットです。
個人事業者の方が、事業である程度の利益を創出できるようになってくると、周りから法人成りを勧められることがございます。言葉自体は聞いた経験があるが、内容がよく分からない、という方へ向けて、具体的にご説明いたします。
1.法人成りとは
法人成りとは、個人事業者の方がおこなっている事業を引き継ぐ株式会社や合同会社を設立し、その法人にその事業を移行することを指します。法人成りの対象となる個人事業者は主に、毎年ある程度利益を創出できる見込みが立つような方です。
2.法人成りのメリット・デメリット
法人成りのメリットは次のとおりです。
① 役員報酬に給与所得控除の適用が可能
法人成りをすると、個人事業者は法人の役員となり、法人から経営者へ役員報酬を支給することになります。その役員報酬は法人の経費になりますが、経営者側では給与収入となるため給与所得控除が適用されます。その結果、法人・経営者のトータルで見た場合、節税効果があります。
② 所得税より低い法人税率の適用が可能
個人事業者にかかる所得税は、段階的に最大55%(住民税含む)まで上昇しますが、法人税は2段階のみで最大約33.2%にとどまります。
③ 最大2年間の消費税の免除
法人成りをすると、その法人は新たな事業者とみなされ、消費税法の規定により最大2年間、消費税の納税が免除されます。
※ この点、今後インボイス制度の導入が開始されると変更になる可能性があります。
④ 欠損金の繰越期間
法人の場合は最大10年間(個人の場合は最大3年)、欠損金を繰り越して利益と相殺することが可能です。
⑤ 賠償の範囲の限定
事業で損害が出た場合、一般的に経営者が被る損害は、会社に出資した範囲に限定されます。
⑥ 社会的信用の増加
法人成りすることで対外的な信用が増し、金融機関での融資審査などで有利に働くことがあります。
法人成りのデメリットは次のとおりです。
① 登記設立費用
法人を設立するには、法務局での登記などの費用がかかります。司法書士などに手続きを依頼した場合の費用は一般的に約20~30万円です。
② 社会保険加入の義務
個人事業者であれば、雇用者が4人までは加入義務がありませんが、法人は社会保険への加入義務があるため、社会保険料の負担が増加する可能性があります。
③ 手続き等事務処理の増加
法人の登記事項に異動があった場合には、随時届出をしなければなりません。
④ 赤字の場合の税金
法人が赤字の場合でも、法人住民税が必ずかかります。(最低約7万円)
3.まとめ
一般的には、個人事業者で所得(利益)が毎年継続して800~1000万円創出できるようになると、法人成りを検討すべきタイミングかと存じます。ただし、利益に波がある業種や職種の場合は、シミュレーション等を行い慎重に検討すべきです。
個人事業者の法人成りは、各種税金が複雑に絡み、具体的なシミュレーションが必須です。
また、手続きも煩雑なため、法人成りをご検討の際にはぜひ、CROSSROADグループにお気軽にお問い合せください。