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5月に岸田政権が資産所得倍増計画を掲げ、NISAの拡充等の施策を検討していることが話題を呼んでいます。実際には、資産形成を支えるため「貯蓄から投資へ」の政策は以前より進められており、その1つに確定拠出年金制度の改正があります。
確定拠出年金には、大きく分けて企業型と個人型(以下、iDeCoといいます)の2つがあり、2022年4月・5月はその両方に改正がありました。より使いやすい制度に改正されたので、この機に一度、企業型確定拠出年金の導入を考えてみてはいかがでしょうか。
【企業型確定拠出年金の概要】
企業型確定拠出年金は、退職金制度の1つです。
会社が従業員のために毎月掛金を拠出して、従業員は自分で投資信託・定期預金等の運用手段を選んで、掛金を運用することができます。
ただし、確定拠出年金を受給できるのは退職時ではなく原則として60歳以降なので、主に老後の生活資金準備が目的となります(加入期間によっては受給開始が61歳~65歳の場合があります)。
もし60歳より前に退職した場合でも、掛金資産をiDeCoに移動させることができるので、自分で資産運用を続けることが可能です。
また、企業型確定拠出年金の種類の1つで「選択制確定拠出年金」という制度もあります。
この制度の場合は、従業員が給料の一部を確定拠出年金の掛金として拠出するか、拠出せずにそのまま給料として受け取るかを選択することができます。
実質的には従業員が自分のお金を拠出するのでiDeCoに似ていますが、iDeCoは所得税・住民税の節税にはなりますが、社会保険料は変わりません。選択制確定拠出年金の場合は社会保険料(会社負担・個人負担ともに)も節約できるので、その意味ではiDeCoよりも有利な制度と考えられます。
それでは、2022年度の改正点のうち、3つに絞って1つずつ解説していきます。
【受給開始時期の選択肢の拡大】(2022年4月1日~)
2022年4月からの公的年金の受給開始時期の拡大に併せて、確定拠出年金(企業型・iDeCoともに)の老齢給付金の受給開始年齢が拡充されました。
従来は受給開始年齢の上限が70歳でしたが、75歳に引き上げられました。
この制度改正によって、受給年齢が5年伸びるので、運用次第では従来よりもさらに資産を増やすことができる可能性があります。ただし、公的年金の繰り下げ受給とは違い、運用次第では資産が減ってしまう場合もあるので注意が必要です。
【企業型確定拠出年金の加入可能年齢の拡大】(2022年5月1日~)
2022年5月から、企業型確定拠出年金の加入者の年齢を、65歳到達までから、70歳到達までに拡大することが可能になりました。
従来は、企業型確定拠出年金の加入者は、原則として60歳未満の厚生年金被保険者でした。
また、規約に定めることで、60歳以降の場合でも60歳前と同じ会社で引き続き勤務する場合に限り、65歳に到達するまでを上限として加入者とすることができました。
今回の改正によって、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば企業型確定拠出年金の加入者とすることができるようになりました。ただし、上限年齢はそれぞれの企業が規約で定めるので、会社の方針によって従来通り「60歳到達まで」や「65歳到達まで」を上限に設定することも可能です。
なお、企業型確定拠出年金の老齢給付金を受給した場合は、再加入はできないので注意が必要です。
【iDeCoの加入可能年齢の拡大】(2022年5月1日~)
従来は、iDeCoは60歳未満の国民年金被保険者が加入可能でしたが、改正によって60歳以上でも国民年金の被保険者であればiDeCoに加入できるようになりました。
具体的には、下記の方が新たにiDeCoの加入対象になります。
・国民年金任意加入被保険者
国民年金の40年の納付期間のうち未納期間があり、60歳以上でも年金額の増額を希望する場合や、年金の受給資格を満たしていない場合に、任意で国民年金に加入する方
・国民年金第2号被保険者
60歳以上65歳未満で、勤務先で厚生年金保険に加入している方
・海外居住の方(60歳未満も、今回の改正で対象に追加)
上記のように一部条件付きではあるものの、iDeCoへの加入可能年齢が60歳から65歳まで引上げられたことによって、より長く掛金を拠出することが可能になりました。
以上、確定拠出年金に関する主な改正点3つについて説明させていただきました。
他にも、企業型確定拠出年金の脱退一時金の要件見直しや、制度間の資産移換の改善等、2022年5月には確定拠出年金に関する制度改正が多々ありました。
さらに、2022年10月にも制度改正があり、ますます確定拠出年金が幅広く使いやすい制度になっていく見込みです。
企業型確定拠出年金の導入を検討されたい企業様は、ぜひCROSSROADまでご相談くださいませ。