コラム

グループ法人税制(5)100%グループ内の法人間の受取配当金

税務

グループ法人税制の第5回として、「100%グループ内の法人間の受取配当金」についてご説明いたします。

■受取配当金とは

受取配当金とは、企業が所有する株式などの有価証券を通じて、他の法人から受け取る利益の配当金を指します。具体的には、企業が保有する株式に対して、その企業が生み出した利益を配当として受け取ることを意味します。

 

■100%グループ内の法人間における受取配当金の法人税法上の取り扱い

従来の法人税法においては、連結納税制度を適用している法人が連結法人株式等に係る配当を受領した場合、負債利子を控除せずに全額が益金不算入とされていました。この取り扱いにより、連結納税制度を適用している法人は、配当金に対する税務上の優遇措置を受けていました。一方で、同制度を適用していない法人が配当を受ける場合には、負債利子を控除した金額が益金不算入の対象となっていました。このため、制度の適用の有無によって法人税負担に差異が生じていました。

しかし、令和4年4月1日以後開始事業年度から連結納税制度を適用していなくても、完全子法人株式等に係る配当については全額が益金不算入とされることが定められました。この改正により、企業間の配当受領における税務上の公平性が向上し、グループ内での資金運用が一層円滑になることが期待されます。

 

■100%グループ内の法人間における受取配当金の源泉徴収不要

従来は完全子法人株式等からの配当金につき、源泉徴収義務がありましたが、令和4年の税制改正により、令和5年10月1日以降に支払われる配当については、源泉徴収が不要となる改正が実施されました。

 

■実務上の影響

実務上は税制改正によって、配当を受け取る法人は、負債利子を控除しないことで益金不算入となる金額が増加するため、課税所得が減少し、法人税の税負担が軽減されることになります。具体的には、例えば1億円の配当を受け取る法人があった場合、従来であれば負債利子の控除によって税負担が変わっていましたが、今後は全額が益金不算入となるため、法人税率が30%の場合、3,000万円の法人税が軽減されることになります。

また、当改正によりグループ間での資金回収及び資金需要に応じた再配分を柔軟に行うことが可能となります。そして、グループ内における投資回収が容易になり、資金調達機能が向上することによって、グループ内の資金効率の向上が期待されます。

 

■まとめ

グループ法人税制につきまして、個別に最適な方法を検討する必要があります。また、その検討・判断には専門的な知識が必要となります。

ご不明点等がございましたら、ぜひ一度税理士法人CROSSROADにご相談ください。

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