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建設業における仕入税額控除の時期について

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建設業において、仕入税額控除の適用時期は非常に重要なテーマです。適切な時期に仕入税額控除を行うことで、企業のキャッシュフローを改善し、税務リスクを軽減することができます。本コラムでは、仕入税額控除の基本的な概念と、建設業特有の注意点について解説します。

1.仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、事業者が仕入れや経費にかかる消費税を、売上にかかる消費税から差し引くことができる制度です。これにより、事業者は実際に負担する消費税額を軽減することができます。仕入税額控除を適用するためには、適切な時期に正確な申告が求められます。

 

2.仕入税額控除の時期の原則

消費税法30条1項1号は、国内において行った課税仕入れに係る消費税額は、その課税仕入れを行った日の属する課税期間において控除すると規定しています。

課税仕入れを行った日は、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいい、これらの日がいつであるかについては、別段の定めがあるものを除き、資産の譲渡等の時期の取扱いに準ずることとなります(消費税基本通達第11章第3節第1項)。

 

3.建設工事に係る課税仕入れを行った日

建設業は他の業種と比べて、プロジェクトの期間が長期にわたることが多く、仕入税額控除のタイミングが複雑になることがあります。建設工事に係る課税仕入れを行った日の原則的な取扱いは以下のように整理されます。

 ①  資材の仕入れ:その引き渡しを受けた日

 ②  機械等の購入:その引き渡しを受けた日

 ③ 下請工事で目的物の引渡しを要する請負契約に基づくもの:目的物の引渡しを受けた日

次に掲げるような部分完成の事実がある場合には、その引渡しを行った部分の課税仕入れを認識することになります。

  • 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
  • 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

 

4.仕入税額控除の適用時期

  消費税には費用収益の期間的な対応という概念はなく、仕入税額控除は、課税仕入れを行った日の属する課税期間において即時に一括して控除するものとされています。ただし、消費税法基本通達には、いくつかの例外が示されています。

  • 未成工事支出金

消費税の仕入税額控除は即時一括控除が原則ですから、その課税仕入れをした日の属する課税期間において仕入税額控除を適用します(消費税法第30条第1項)。

ただし、会計処理においては、建設工事等に係る目的物の完成前に支出した原価及び費用は、収益との期間的対応のために、未成工事支出金として資産計上し、建設工事等が完成した時点で一括して完成工事原価に振り替えられます。このような経理実務を考慮し、未成工事支出金として経理した課税仕入れ等については、継続適用を要件として、その建設工事等に係る目的物を完成して相手方に引き渡した日に課税仕入れ等があったものとして取り扱うことができることとされています。(消費税法基本通達第11章第3節第5項)

 

建設業における仕入税額控除の時期は、企業の財務状況や税務リスクに大きな影響を与えます。適切な時期に控除を行うためには、プロジェクトの進捗状況や経費の発生時期を正確に把握し、詳細な記録を保持することが重要です。これにより、税務リスクを軽減し、企業のキャッシュフローを改善することができます。

建設業の方で消費税の取り扱いについて疑問がある方は、建設業を多く取り扱う、税理士法人CROSSROADまで

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