コラム

配偶者控除の収入要件の拡大 103万円から150万円へ

税務

先日、政府が来年度の国会に提出する税制改正案の1つとして配偶者控除の収入要件の拡大が盛り込まれていることを発表しました。

 
配偶者控除とは、

 給与所得のみ配偶者がいる場合、その配偶者の年収が「103万円以下」であれば、その配偶者の相手の“所得”に対して所得税から38万円、住民税から33万円の控除を受けることができる制度をいいます。

 改正後は、配偶者の収入要件が「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げられます。

この改正により配偶者特別控除の収入要件も改正されます。


配偶者特別控除とは、

配偶者の年収が「141万円未満」であれば、その配偶者の相手の“所得”に対して段階的に配偶者控除が適用される制度をいいます。

改正後は、配偶者の収入要件が「141万円未満」から「201万円未満」に引き上げられます。

なお、実際の適用は再来年の2018年1月からとなる見込みです。

ただ、2016年9月5日に掲載したコラム「配偶者控除の見直し」でも取り上げたように配偶者控除の収入要件が拡大されても社会保険の扶養の要件である年収130万円未満であるという壁があります。

社会保険に入っている場合には、配偶者の年収が130万円未満であれば、ご自身の扶養家族として社会保険の被扶養者に入れることができます。

しかし、130万円を超えた場合には、配偶者自身が勤務先の会社で社会保険に加入するか若しくは国民健康保険・国民年金に加入しなければなりません。


例えば、次のケースを比較した場合、世帯の手取りは以下のようになります。

前提:
(1) 大阪市在中
(2) 夫・妻ともに40歳以上
(3) 夫の年収は500万円
(4) 妻が130万円を超えた場合は、勤務先の会社で社会保険に加入
ケース1:妻の年収が130万円未満の場合
(1) 年間収入  :630万円(夫500万円、妻130万円)
(2) 社会保険料 :▲73万円(夫73万円、妻0円)
(3) 所得税   :▲11万円(夫10万円、妻1万円)
(4) 住民税   :▲27万円(夫24万円、妻3万円)
(5) 世帯の手取額:519万円(夫393万円、妻126万円)

ケース2:妻の年収が150万円以下の場合
(1) 年間収入:650万円(夫500万円、妻150万円)
(2) 社会保険料 :▲96万円(夫73万円、妻23万円)
(3) 所得税   :▲11万円(夫10万円、妻1万円)
(4) 住民税   :▲27万円(夫24万円、妻3万円)
(5) 世帯の手取額:516万円(夫393万円、妻123万円)

したがって、年間収入はケース2の方が20万円多いにもかかわらず、社会保険料が増えたことにより、ケース1の方が世帯の手取りは3万円増えます。

今後は、社会保険の扶養の要件を考慮した改正案の決定が望まれます。

 
役員報酬などの見直しや配偶者の年収の検討については、税理士法人CROSSROADにご相談ください。

その他関連コラム