コラム

国税の換価の猶予制度

税務

 税金の納付が困難な場合、税務署が財産を差押えて滞納処分を行って財産を換価し、滞納している税金に充当することがあります。
 滞納している税金を一度に納付することが困難な場合、従来は税務署に分割納付のお願いをし、換価を猶予してもらっていましたが、平成26年度の税制改正により、納税者の申請による「換価の猶予制度」が創設され、納税者から換価猶予の申請を行うことができます。

1.換価の猶予とは
 国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合に、申請に基づいて差押財産の換価(売却)が猶予される制度です。

 

2.申請要件
 次の①から⑥に掲げるすべての要件に該当する場合は、換価の猶予を受けることができます。
 ①  国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあること
 ②  納税について誠実な意思を有すると認められること
 ③  換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
 ④  納付すべき国税の納期限から6か月以内換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されていること
 ⑤  納付を困難とする金額があること
 ⑥  原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること
  ※ただし、以下のいずれかに該当する場合には、担保を提供する必要はありません。
   ・猶予を受ける金額(未確定の延滞税を含む。)が100万円以下である場合
   ・猶予を受ける期間が3か月以内である場合
   ・担保として提供することができる財産がないといった事情がある場合

 

3.猶予期間
 換価の猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く国税を完納することができると認められる期間に限られます。なお、換価の猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付する必要があります。
 ※換価の猶予を受けた後、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合は、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲内で猶予期間の延長が認められることがあります。

 

4.換価の猶予の効果
 税務署では、提出された申請書及び添付書類の内容を確認して、猶予の許可・不許可、猶予を許可する金額・期間などの審査を行い、猶予が許可された場合は、以下の効果があります。
・既に差押えを受けている財産の換価(売却)が猶予されます。
・差押えにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産については、差押えが猶予又は解除される場合が  あります。
・換価の猶予が認められた期間中の延滞税の一部が免除されます。

 

 税理士法人CROSSROADでは、「換価の猶予申請書」の作成のお手伝いをさせて頂きますので、税金を一度に納付することが困難な場合は、お気軽にご相談下さい。

その他関連コラム