コラム

損益分岐点とは?

税務

経営分析指標には様々な指標がありますが、中でも利益管理の代表的な指標として「損益分岐点」があります。損益分岐点とは、売上高と費用が一致する売上高を指します。つまり損益分岐点は、経営者にとって黒字経営を目指す上で非常に重要な指標となります。

損益分岐点を算定するためには、費用を「変動費」、「固定費」の2種類に区分する必要があります。「変動費」は、売上高に比例して増減する費用を指し、代表的な項目として仕入高、販売手数料、外注費などが挙げられます。次に「固定費」は、売上高に関係なく発生する費用を指し、代表的な項目として人件費、地代家賃、広告宣伝費、リース料などが挙げられます。これら「変動費」、「固定費」を用いることで損益分岐点を以下の通り算定ができます。

算式 :損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)

具体例を用いた損益分岐点の算定は、下記の通りです。
事例 :原価率30%、販売手数料率20%、人件費100万円/月、地代家賃50万円/月
算式 :固定費150万円÷(1-変動費率50%)=損益分岐点売上高300万円/月

損益分岐点売上高が算定できれば、黒字化のために最低限必要な販売数量や販売単価の検討などが可能となる上、営業マンに対して販売数量の目標値を設定する際にも明確に指示することが可能となります。

予算設定などについては、税理士法人CROSSROADにご相談ください!

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中小企業経営強化税制の創設

税務

平成29年度税制改正では、サービス業を含めて広く中小企業が行なう生産性の向上につながる設備投資への支援を拡充する措置が講じられることになりました。
現行の中小企業投資促進税制のうち、生産性の高い先進的な設備や生産ライン等の改善に資する設備への投資を対象に即時償却や税額控除ができる上乗せ措置(適用期限:平成29年3月31日)を改組し、新たに「中小企業経営強化税制」を創設。これまで対象外であった器具備品や建物付属設備が対象設備に追加されることになりました。 適用期限は2年間となります。また、中小企業投資促進税制は一部見直しが行われ、対象設備から器具備品を縮減し、適用期限が平成31年3月31日まで2年間延長されることになりました。

今回、創設された「中小企業経営強化税制」の制度内容は以下の通りです。

1.)対象法人
青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた者

2.)対象設備
生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエアで、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載された経営力向上設備等に該当する一定の規模以上の設備
【経営力向上設備等】
 ・生産性向上設備
販売開始から一定期間内のもので、生産性が旧モデル比年平均1%以上改善する設備
 ・収益力強化設備
投資利益率が年平均5%以上の経済産業大臣の確認を受けた投資計画に係る設備

3.)特別償却・税額控除
即時償却または7%の税額控除(資本金3000万円以下の法人は10%の税額控除)

4.)適用年度
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に指定事業に供用

これにより、生産性向上設備投資促進税制(平成29年3月31日廃止)に中小企業投資促進税制を上乗せする、かつての制度と似た効果を得ることができるということになります。今回の「中小企業経営強化税制」では、太陽光の即時償却が可能なのかどうか動向が気になるところです。
なお、機械装置に限っては、生産性が向上している機種等に該当する資産で、メーカー等から経営力向上設備等に係る仕様証明書を取得できる場合には、固定資産税の課税標準を3年間1/2とする特例もあります。

「中小企業経営強化税制」の詳細については、税理士法人CROSSROADにお問い合わせください!!

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経理業務の合理化について

税務

弊社が、新たなお客様に顧問契約をいただいた際、最初に経理業務の見直しを
するケースがあります。

たとえば売上高は、誰が、どの資料やデータに基き、どのような手続きを経て、
誰がどのように検証やチェックをして会計処理がされているかについて、
具体的な資料やデータを参照しながらヒアリングを行うことによって、
一連の流れをフローチャートにまとめます。
売上高のみならず、会社全体の経理業務の流れを把握すると、不必要な作業、
非効率な作業、逆に必要なチェックや牽制がされていない作業などが浮き彫りになります。

業歴が長いお客様ほど、このようなムダな作業が多く検出される割合が高くなります。
それは、担当者が交代し経理業務を引継ぎする際、後任の担当者が、前任者が行っていた
作業がなぜ必要なのかを深く理解できておらず、とりあえず引継ぎを受けたまま続けてしまう
からです。
私たちが経理担当者に「この作業はどのような目的でされていますか?」と質問すると、
「よくわかりませんが、前任者に教えられたまま続けています」との答えが多いのです。

このようなお客様に対して、弊社は、現状分析結果と改善提案を行い、経理業務を合理化
するとともに、間違いや不正の起こりにくい経理システムの構築をお手伝いしています。

経理業務の合理化については、是非、税理士法人CROSSROADにご相談ください!

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配偶者控除の収入要件の拡大 103万円から150万円へ

税務

先日、政府が来年度の国会に提出する税制改正案の1つとして配偶者控除の収入要件の拡大が盛り込まれていることを発表しました。

 
配偶者控除とは、

 給与所得のみ配偶者がいる場合、その配偶者の年収が「103万円以下」であれば、その配偶者の相手の“所得”に対して所得税から38万円、住民税から33万円の控除を受けることができる制度をいいます。

 改正後は、配偶者の収入要件が「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げられます。

この改正により配偶者特別控除の収入要件も改正されます。


配偶者特別控除とは、

配偶者の年収が「141万円未満」であれば、その配偶者の相手の“所得”に対して段階的に配偶者控除が適用される制度をいいます。

改正後は、配偶者の収入要件が「141万円未満」から「201万円未満」に引き上げられます。

なお、実際の適用は再来年の2018年1月からとなる見込みです。

ただ、2016年9月5日に掲載したコラム「配偶者控除の見直し」でも取り上げたように配偶者控除の収入要件が拡大されても社会保険の扶養の要件である年収130万円未満であるという壁があります。

社会保険に入っている場合には、配偶者の年収が130万円未満であれば、ご自身の扶養家族として社会保険の被扶養者に入れることができます。

しかし、130万円を超えた場合には、配偶者自身が勤務先の会社で社会保険に加入するか若しくは国民健康保険・国民年金に加入しなければなりません。


例えば、次のケースを比較した場合、世帯の手取りは以下のようになります。

前提:
(1) 大阪市在中
(2) 夫・妻ともに40歳以上
(3) 夫の年収は500万円
(4) 妻が130万円を超えた場合は、勤務先の会社で社会保険に加入
ケース1:妻の年収が130万円未満の場合
(1) 年間収入  :630万円(夫500万円、妻130万円)
(2) 社会保険料 :▲73万円(夫73万円、妻0円)
(3) 所得税   :▲11万円(夫10万円、妻1万円)
(4) 住民税   :▲27万円(夫24万円、妻3万円)
(5) 世帯の手取額:519万円(夫393万円、妻126万円)

ケース2:妻の年収が150万円以下の場合
(1) 年間収入:650万円(夫500万円、妻150万円)
(2) 社会保険料 :▲96万円(夫73万円、妻23万円)
(3) 所得税   :▲11万円(夫10万円、妻1万円)
(4) 住民税   :▲27万円(夫24万円、妻3万円)
(5) 世帯の手取額:516万円(夫393万円、妻123万円)

したがって、年間収入はケース2の方が20万円多いにもかかわらず、社会保険料が増えたことにより、ケース1の方が世帯の手取りは3万円増えます。

今後は、社会保険の扶養の要件を考慮した改正案の決定が望まれます。

 
役員報酬などの見直しや配偶者の年収の検討については、税理士法人CROSSROADにご相談ください。

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空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

税務

近年、人口減少や高齢化等の進展により、相続により取得した不動産が管理されずに空き家となって放置され、問題となるケースが増加しています。
このような管理者のいない老朽化した家屋は、ごみの不法投棄や放火等の犯罪の発生など少なからず周囲に悪影響を与えています。
また、管理されている老朽化した家屋についても解体費用の負担や解体し更地にすることで増加する固定資産税の負担を考慮すると、なかなか解体に踏み切れない事情があります。
そこで、このような問題を少しでも解消するため、平成28年度税制改正により、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。

1.制度の概要
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を平成28年4月1 日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について3,000万円の特別控除を適用することができます。

2.特別控除の適用を受けるための要件
この特例を受けるためには、以下のすべての要件を満たすことが必要となります。
①相続した家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除きます。)であること。
②相続発生時に被相続人以外に居住者がいなかったこと。
③譲渡をした家屋又は土地は、相続時から譲渡時点まで居住、貸付け、事業の用に供されていたことがないこと。
④相続時から3年経過した年の12月31日までに譲渡すること。
⑤家屋は耐震リフォームするか更地にすること。
⑥譲渡価格が1億円を超えないこと。

3.適用時期
相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要です。 

4.適用を受けるための手続き
この特例の適用を受けるためには、確定申告書に一定の書類を添付することが必要となります。一定の書類とは適用要件を満たしていることがわかる書類となり、具体的には地方公共団体の長等の当該被相続人居住用家屋及び当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等が上記要件を満たすことの確認をした旨を証する書類、売買契約書及び登記事項証明書等が必要となります。

CROSSROADグループでは、相続についての生前対策から税務申告までお手伝いさせていただきますので、相続に関する不安や悩みがあれば、お気軽にご相談ください

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