コラム

令和4年 労働・社会保険関連法改正について

労務

人事労務業務では、令和4年も様々な法律の改正が行われることが決まっています。
改正内容によっては事前に準備することが必要な法律もありますので、改正時期および概要についてご紹介いたします。

【令和4年1月1日】
●健康保険法の改正
健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます。
(改正のポイント)
①傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になります。
 ・同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象となります。
 ・支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても繰り越して支給可能になります。
 
●雇用保険マルチジョブホルダー制度
従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。
これに対して雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
 <適用要件>
  ①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  ②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  ③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
 
「マルチ高年齢被保険者」の申し出は任意ですが、マルチ高年齢被保険者となった後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で任意脱退はできません。
 

【令和4年4月1日】
●女性活躍推進法の改正
「改正女性活躍推進法」では、一般事業主行動計画の策定が、常時雇用する労働者が301人以 上の企業に義務づけられています。令和4年4月1日から、101人以上300人以下の企業にも 策定・届出と情報公表が義務化されます。
施行日まで下記の対応を進めていく必要があります。
 ①一般事業主行動計画の作成、届出
 「一般事業主行動計画」とは、企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。行動計画には、計画期間、数値、目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込まなければなりません。
 ②女性の活躍に関する情報公表
 
●労働施策総合推進法の改正
令和2年6月に改正された「労働施策総合推進法」ですが、令和4年4月1日より、「中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置」が義務化されます。
 
「職場におけるパワーハラスメント防止措置」にて企業がやるべきこと
 ①事業主の方針当の明確化および周知・啓発
 ②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 ③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
 ④併せて講ずべき措置
 
●育児介護休業法の改正
(1)雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
 ・ 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
 ・ 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認の措置
 
(2)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
 ・現行では、①引き続き雇用された期間が1年以上、②1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない場合の2つの要件がありましたが、①の要件を撤廃し②のみとなります。
 
【令和4年10月1日】
●育児介護休業法の改正
(1)産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
 ① この出生後8週間以内に4週間まで取得可能
 ② 申出は、原則休業の2週間前までに行う
 ③ 分割して2回取得が可能
 ④ 労働者の意に反したものとならないよう、労使協定を締結している場合に限り、労働者と 事業主の合意した範囲内で事前に調整した上で休業中に就業することを可能とする
 
(2)育児休業の分割取得
 ① 育児休業を分割して2回まで取得可能とする
 ② 保育所に入所できない等の理由により1歳以降に延長する場合について、開始日を柔軟化する
 
●健康保険法・厚生年期保険法の改正
(1)短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 従業員数が101人以上500人までの企業に対して、下記の条件を満たす短時間労働者を社会保険に加入させることが義務付けられます
 ①週の所定労働時間が20時間以上であること
 ②雇用期間が2か月を超えて見込まれること
 ③賃金の月額が88,000円以上であること
 
今後も人事労務業務に関係する法律の改正が行われます。
改正内容によっては、就業規則等の各種規程を変更する必要もありますので、どのような法律の改正なのか、どのように対応したらよいかなどのご不明な点はCROSSROAD社労士事務所へお問い合わせください。

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