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少子高齢化が進むなか、「終活」や相続対策への関心が年々高まっています。その備えの中心となるのが「遺言書」です。最近では、スマートフォンやパソコンで作成できる「デジタル遺言」の導入に向けた法整備が進むなど、遺言制度も大きく変わろうとしています。また、亡くなった後だけでなく、ご自身の判断能力が低下したときに備える仕組みとして「家族信託」も注目を集めています。
本コラムでは、遺言書の基本から、注目されるデジタル遺言、そして家族信託まで、相続対策に欠かせない3つの仕組みを解説します。
遺言書とは、亡くなった方が「自分の財産を、誰に、どのように残すか」を書面で示したものです。
遺言書がない場合、法定相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要になりますが、相続人の一人でも納得しなければ手続きは進まず、家族間のトラブルに発展するおそれがあります。遺言書を残しておけば、ご自身の意思に沿った遺産分割が可能となり、相続手続きをスムーズに進められます。また、孫や甥などの「法定相続人以外」に相続したい場合も遺言書がなければ、希望通りに引き継ぐことができません。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自筆して押印するもので、費用はかからない一方、紛失や記載不備などで無効となるリスクがあります。公正証書遺言は、公証人と2人以上の証人のもとで作成し、原本を公証役場が保管します。費用はかかりますが、最も確実で安全性が高いため、専門家からも強く推奨される形式です。
「デジタル遺言」は、現在創設が進められている新しい遺言の形です。2026年4月に、スマートフォンやパソコンで遺言を作成できる「デジタル遺言(保管証書遺言)」の創設を盛り込んだ民法等の改正案が閣議決定されました。現在は制度の詳細が検討されており、今後数年以内の導入が見込まれています。
現行の自筆証書遺言は、財産目録を除く全文・日付・氏名を紙に手書きすることが前提で、一文字誤るだけでも二重線や訂正印など所定の訂正手続きが必要でした。しかし、デジタル遺言では、キーボード入力や音声入力が認められ、修正も容易になるため、手書きが困難な方にも利用しやすい制度となります。
最大の特徴は、データが法務局で「保管」される新たな制度であることです。手続きはオンラインで完結し、法務局へ出向く必要もありません。ただし、本人が内容を正しく理解し、自由な意思で作成したことを担保するため、保管官の前で遺言の全文を読み上げることなどが要件とされています。利用者の負担を減らすため、Web会議による非対面での本人確認や全文口述も認められる見込みです。また、遺言者の死亡後、法務局から相続人へ「遺言書を保管している旨」の通知が行われる制度も設けられる予定で、「遺言が見つからない」というリスクの解消にもつながります。
従来の遺言との違いを整理すると、作成はパソコン・スマートフォンで行い、押印は不要、家庭裁判所の検認も不要となり、利便性と安全性を兼ね備えた「新たな選択肢」となることが期待されています。費用については、現時点で未定ですが、現在の自筆証書遺言書保管制度が1件3,900円であることから、同程度の水準になる可能性があります。
※民間サービスとの違いにご注意
一方、民間の「デジタル遺言サービス」は、万が一のときに家族へ伝えたい内容をスマートフォンやオンライン上に残しておくサービスで、デジタル版のエンディングノートのようなものです。災害時にも情報を残せる利点がありますが、法的な拘束力はありません。財産の分配については、別途、正式な遺言書の作成が必要ですのでご注意ください。
家族信託とは、資産を持つ方が、老後の生活や介護に必要な資金の管理といった目的に従い、不動産や預貯金などの財産を信頼できる家族に託して、管理・処分を任せる仕組みです。「家族の家族による家族のための信託」とも言われ、家族に管理を託すため高額な報酬が発生しにくく、資産家でなくても利用しやすい財産管理の手法です。
最大のメリットは、判断能力が低下した後の財産管理に柔軟に対応できる点です。成年後見制度では家庭裁判所への報告義務があり、資産の積極的な活用や相続税対策が制約されますが、家族信託なら元気なうちから管理を託し、本人の意向に沿った資産運用や不動産の売却・買い換えも可能です。また、遺言では指定できない「二次相続以降の承継先(例:妻の次は長男へ)」をあらかじめ決めておける点も大きな特徴です。
ただし、契約時に本人の判断能力がすでに失われている場合は利用できず、また税務上の特別な優遇措置があるわけではない点には注意が必要です。
相続や遺言、財産管理について少しでもご不明な点やご不安なことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。CROSSROADの専門スタッフが、皆様のお悩み解決に向けて最適な方法をご提案いたします。
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