贈与のすすめ
会計・税務・経営コンサルティングのご相談は大阪市中央区と東京都港区の税理士法人CROSSROAD(クロスロード)
今回は、「結婚・子育て資金の一括贈与」という制度についてご説明いたします。
この制度は、直系尊属(贈与者)の方から18歳以上50歳未満の直系卑属(受贈者)へ、将来結婚や子育てに使うお金を、
非課税で贈与できる制度です。条件を満たせば、受贈者1人につき最大1000万円(結婚に関する支払は300万円)まで非課税となります。
令和5年で制度が終了する予定でしたが、この度、制度の延長が決定的となりました。
1.手続き
この制度を利用するには、単に贈与をすればいいというわけでなく、次のような手続きが必要になります。
① 金融機関窓口で受贈者名義の専用口座を開設
② ①の金融機関を経由して、信託や預入をする日(通常は口座開設等の日)までに、「結婚・子育て資金非課税申告書」を、受贈者の納税地税務署に提出
③ 贈与者が①の口座へ一括預入
④ 受贈者が①の金融機関へ、目的に沿った支払の請求書・領収書等を提出すると、その金額を非課税で口座から引出可能
2.対象となる費用例
結婚や子育てとなると、一般的に披露宴や出産費用をイメージしますが、
その他にも次のような費用が制度の対象となります。
①(結婚) 挙式、婚礼(結婚披露)費用(婚姻日前1年以内に支払ったもの)
②(結婚) 家賃、敷金等の新居・転居費用(期間制限あり)
③(子育て) 不妊治療・妊婦健診等の費用
④(子育て) 分娩・産後ケア等の費用
⑤(子育て) 子供の医療費、幼稚園・保育所の保育料(ベビーシッター代含む)等
※ ①~②は合計300万円まで、③~⑤は①~②と合計で1,000万円まで
3.注意点
この制度を利用する際の注意点は、次のとおりです。
① 目的外で引き出した金銭等は贈与税の課税対象
② 直系卑属が50歳になる等により契約が終了した場合、口座の残額が贈与税の課税対象(一般税率)
③ 契約期間中に、贈与者である直系尊属の相続が発生した場合、口座の残額は相続税の課税対象
※ 相続税法の改正により、相続税額の2割加算の対象となる場合あり
④ 受贈者の所得要件があり、前年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に利用可能
⑤ 一度契約すると、原則は取り消し不可
4.まとめ
この制度は、利用することで、親や祖父母が認知症などにならないうちに、支出目的が決まった資金を、
非課税枠を使ってあらかじめ贈与することが可能です。
また、日本では少子化が進んでいますが、その理由に子や孫世代の金銭面の不安があります。その解消方法として、
親や祖父母のお金を使ってもらうことも、こうした優遇税制が制定された目的の一つとして考えられます。
今回ご紹介した制度のような、税制面で優遇されている制度を積極的に活用されたい方は、
是非一度CROSSROADグループへご相談ください。