コラム

個人開業医の税務における留意事項

税務

今回は、個人の開業医の方の税務における留意事項について説明いたします。

1.所得税について

医師、歯科医師による診療、治療による診療報酬の計上時期は、入金日やレセプト請求のタイミングではなく、その役務の提供の完了時となります。したがって、社会保険診療報酬の場合には診察を行った月の2か月後に入金されることから、3月入金分から翌年2月入金分を一年分の収入として申告することになります。クレジットカードやローン払いのものについても、診療、治療が終わったタイミングで売上計上すべきものであるため、売掛金や未収入金が発生する場合があります。

 

一方、必要経費については、一般の事業所得者と同様に、仕入れや消耗品費、減価償却費などですが、社会保険診療報酬の額が5,000万円以下であり、かつ医業又は歯科医業から生じる事業所得に係る総収入金額に算入すべき金額の合計額が7,000万円以下である場合には、概算によって社会保険診療報酬に係る経費を適用することができます。

 

なお、社会保険診療報酬と自由診療報酬等に共通して要する必要経費については、診療実日数又は収入による割合によって自由診療収入等に対応する部分を算定します。社会保険診療報酬に係る部分は、共通経費から自由診療収入等に係るものを控除して算定しますが、概算経費による方法が有利である場合には差額を措置法差額として必要経費に算入することができます。

 

また、青色申告者である方が、医療用機器のうち高度な医療を提供に資するものとして厚生労働大臣が指定するものを取得し、事業の用に供した場合には、普通償却費とは別に取得価額の12%相当額を特別償却費とすることができます。

 

2.事業税について

個人事業税は、事業所得の金額に青色申告特別控除額等を加算するとともに、事業主控除額(原則年額2,900万円)等を減算して課税標準額を算定し、税率(第三種事業に該当するため5%)を乗じて計算します。

なお、課税標準額の算定に当たっては、医師、歯科医師が社会保険医療報酬等について支払いを受けた金額は総収入金額に算入せず、また、それらに係る経費は必要経費に算入しないこととされています。

 

3.消費税について

医師、歯科医師の場合には、一般的には非課税売上げが多くなりますが、自由診療報酬が1,000万円を超えると、その2年後から納税義務が生じます。

上記において、基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が「消費税簡易課税制度選択届出書」を、その適用を受けようとする年の前年末までに提出した場合には、課税仕入れ等に係る消費税額をみなし仕入れ率で計算することができますが、医師、歯科医師が行う取引のうち、自由診療報酬に係るものは第五種、歯ブラシ等の商品販売の場合には第二種、事業用資産を売却した場合には第四種が適用されます。

また、簡易課税制度が適用されない場合には、売上全体に占める課税売上高の割合が低くなることから、課税仕入れが大幅に制限されることがあります。

 

ご不明な点がございましたら、税理士法人CROSSROADにお気軽にお問い合せください。

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