「儲かっている優良企業」ほど陥るジレンマ ~自社株が高すぎて後継者に譲れない“事業承継のパラドックス”~
会計・税務・経営コンサルティングのご相談は大阪市中央区と東京都港区の税理士法人CROSSROAD(クロスロード)

「無借金で利益もしっかり確保でき、内部留保も十分に積み上がってきた。そろそろ会社のお金(余剰資金)の運用を本格的に考えようか」――。経営基盤が安定してきたタイミングで、こう考え始める経営者の方は少なくありません。投資と聞くと「資産を増やす手段」と捉えられがちです。しかし、経営者が投資を学ぶ意義は、単に「お金を増やす」ことにとどまりません。本コラムでは、投資を通じて経営に不可欠な「俯瞰力」を磨くという視点から、経営者ならではの「法人と個人を総合した資産運用戦略」について解説します。
1. 投資は「経営の疑似体験」であり、「俯瞰力」を養う
投資先を選ぶという行為は、事業の将来性を見極めることに通じます。企業を分析し、市場を予測し、限られた資本をどこに配分するかを考える――これらは、そのまま経営判断の訓練であり、いわば「経営の縮図」と言えます。
また、価格変動・制度変更・地政学リスクなど、投資を通じて「不確実性との付き合い方」を体得することは、変化の激しい時代における経営の危機管理能力を高めることにも直結します。
さらに投資の知識は、「自社を客観視する目」を養います。たとえばROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)といった指標です。経営者はまずROA(本業の効率性)を高める努力をすべきですが、こうした財務指標は、自社の内部だけで完結するものではありません。金融機関からの融資審査、補助金の申請、あるいは将来のM&A(事業売却)といった場面では、まさにこれらの指標を通じて、自社が第三者からどう評価されるかが問われます。投資家が企業を分析するのと同じ目線を持つことで、自社が外部からどう見られているのかを俯瞰的に把握し、いざという局面に備えられるようになるのです。
2. 法人と個人、どちらで運用するか ― 経営者ならではの「資金配分」
投資の視点を身につけたうえで実際に資産運用を行う際、経営者は一般の個人投資家とは異なる視点を持つ必要があります。
個人の老後資金準備として、NISAやiDeCoは非常に有効な制度です。ただし経営者の場合は、「個人資産をNISAに回すよりも、自社の事業に投じたほうが高いリターンを得られるのではないか」という、事業投資とのバランスを常に意識する必要があります。手元資金の最適配分そのものが、経営者にとっての投資判断なのです。
一方、法人の余剰資金の活用先としては、「企業型DC(企業型確定拠出年金)」の導入も強力な選択肢となります。会社が掛金を拠出することで、従業員の福利厚生(退職金準備)の充実や人材の確保につながるだけでなく、事業主が拠出する掛金は全額を損金算入できるため、節税・財務戦略の面でも大きなメリットがあります(確定拠出年金法に基づく事業主掛金。福利厚生費等として損金算入)。※厚生労働省HP 確定拠出年金制度の概要
なお、企業型DCの拠出限度額は、他の企業年金制度を併用していない場合、現行で月額5万5,000円です(2026年7月現在)。
3. 会社の成長が招く「事業承継のパラドックス」
事業投資や制度活用を通じて会社が成長し、内部留保が積み上がって財務体質が優良になることは、経営者として誇るべき成果です。ところが、まさに「会社が最も良い状態」のタイミングで、思わぬ落とし穴に直面することがあります。それが、“事業承継のパラドックス”です。
非上場企業の自社株は、会社の利益や純資産などをもとに評価されます。そのため、利益を積み上げ財務内容が良くなるほど株価(自社株評価額)は高まり、いざ後継者へ会社を譲ろうとした際に、多額の相続税・贈与税が発生して事業承継の大きなハードルとなってしまうのです。
「会社を良くする」努力が、そのまま「承継を難しくする」要因にもなり得る――。だからこそ、業績が好調なうちから、計画的に対策を講じておくことが重要になります。
4. 法人と個人の資産を最大化する「最適な資産運用」を
経営者における資産運用とは、単に「利回りの良い金融商品を買う」ことではありません。次の3つの視点から、全体最適を図る総合的な意思決定が求められます。
●個人の資産を、どう増やし守るか
●法人の資金を、事業投資や福利厚生にどう配分するか
●自社株の評価上昇にどう備え、円滑な事業承継を実現するか
税理士法人CROSSROADは、税務・財務の専門家として、これらの複雑な課題に対応できる体制を整えています。
たとえば、こんなお悩みはありませんか。
●会社の余剰資金の、効果的な活用方法を知りたい
●企業型DCの導入を検討している
●将来の自社株評価の上昇が心配だ
このようなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ税理士法人CROSSROADへご相談ください。単なる税務申告にとどまらず、法人と個人の資産を最大化し、会社と経営者の双方を守るための最適な「道」をご提案いたします。
※ 本コラムは制度の一般的な解説であり、個別の税務判断・投資判断・金融商品の推奨を行うものではありません。実際の制度活用や資産運用の検討にあたっては、最新の法令・制度内容を確認のうえ、当社担当者および必要に応じて金融商品取引業者等の専門家へご相談ください。