贈与のすすめ
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今回は、民法上の契約(雇用・請負・委任)を締結した場合に留意しておくべき税務上の取り扱いについて説明いたします。
1. 区分の基準
雇用と請負・委任は民法(債権法)上の典型契約であり、それらの定義は同法に規定されていますが、具体的な区分の基準は(裁判例等によって)以下のようなものであるとされています。
(1)雇用契約
雇用は従事者が他者の指揮監督下のもとに役務を提供するものであり、その支払対価は一般に勤労時間によって算定されます。
従事者は業務遂行上生じた事故に対する過失責任を負いません。
従事者は業務遂行上必要となる経費を負担しません。
(2)請負契約
請負は、従事者が他者から成果物の完成を目的として業務を請け負うものであり、その支払対価は引き渡された成果物の対価として契約上定められたものとなります。
従事者が業務遂行上生じた事故に対する過失責任を負います。
従事者が業務遂行上必要となる経費を負担します。
(3)委任契約
委任契約は、従事者が他者から受託した法律行為又は事実行為を行うものであり、支払対価は契約上定められたものとなりますが、原則は無報酬です。
過失責任、経費負担については上記⑵と同じです。
2.税法上の取り扱い
租税法においても、雇用・請負・委任の区分については上記1の民法の概念を借用した上で、具体的には以下のように取り扱われています。
(1)所得税
雇用は給与と同質のもので給与所得となり、給与所得控除が適用され、源泉徴収を要します。
請負は外注費と同質のもので事業所得となり、一般的には源泉徴収は不要です。
委任は役員に対するものは給与所得ですが、税理士等の報酬は事業所得となり所得税法204条による源泉徴収を要します。
(2)消費税
雇用関係においては勤労の対価たる給与を得るものであり、事業者が行う行為ではないことから不課税取引となります。
請負関係においては成果物に対する対価たる報酬を得るものであり、事業者が行うものであることから課税取引となります。
委任関係においては給与の性質があるものと請負の性質があるものがあり、その性質に応じて区分します。
(3)印紙税
雇用契約書及び委任契約書は不課税文書です。
請負契約書は課税文書です。
これらは契約内容のみならず契約書に記載された文言によって異なった性質のものとなる可能性があり、意識することなく契約書を締結してしまえば思わぬ税負担が生じることになりかねないので、ご注意ください。
ご不明な点がございましたら、税理士法人CROSSROADにお気軽にお問い合せください。